肩まわりの症状には、肩こりと呼ばれる筋筋膜性の痛みの他に、五十肩、腱板損傷、頸腕症候群などがあります。この中で、肩こり・五十肩・頸腕症候群はほとんど原因が同じところにあります。その原因は「姿勢」です。いわゆる「猫背」の姿勢が痛みを引き起こす1番の原因と考えられます。

肩の関節は肩甲骨という背中についている大きな骨が土台となり、腕の骨がくっついて肩関節を形成します。土台の肩甲骨は筋肉だけで肋骨にくっついているので、その位置が容易に変化します。とても動きやすいので、腕は足に比べて自由に動かすことができます。その反面、正しい位置に保つことが難しい場所でもあります。

この正しい位置がずれて肩が丸くなった姿勢を猫背と呼んでいます。猫背になった状態は、肩の関節の動きが悪くなり、骨同士が挟まれることで痛くなります。これが五十肩の病態です。五十肩は、髪の毛を結ぶ動作やエプロンを結ぶ動作などで痛みを感じ、夜寝ている時に激痛が走ることもあります。

頸腕症候群は、首の骨から腕に向かう神経や血管が周りの筋肉に圧迫されて痛みや痺れなどを起こす病気です。圧迫してしまう筋肉は肩こりで硬くなる筋肉と同じなので、肩こりのひどい状態とも言えます。首まわりや腕にかけて痺れることがあり、頭痛や吐き気などを伴う場合もあります。
以上のような症状がなくても、いつも肩や首周りが重だるいと感じている状態は、予備軍の可能性が高いです。どのような形で痛みとして現れるかは個人差があります。全く症状がない人もいれば、五十肩になってしまって激痛を感じてしまう人もいます。原因である姿勢を改善することが、根本的な治療と言えます。
五十肩のように痛みが出ている状態では、動きの質が落ちてしまいます。悪い動きのまま姿勢をなおそうとエクササイズを行っても意味がありません。まずは、鍼灸やマッサージ等で痛みを取り除くことも必要になります。