交通事故は大きな衝撃が体にかかるため、様々なケガにつながります。
その中には、事故直後ではわかりづらい症状もあるので注意しなければなりません。

むちうち

 自動車事故が起きた際、高い割合で発生するのがむちうちです。病院では「頚椎捻挫」や「頚部挫傷」という病名で診断されます。体が座席に固定されている場合、事故の瞬間頭部が大きく動揺します。その時に首周りの軟弱な組織が激しく動かされるため、筋肉や神経が損傷して痛みになります。
 症状は、首や肩まわりの痛み(肩こり)・頭痛・めまい・吐き気・手の痺れなどがあります。痛みや吐き気によって睡眠障害になることもあります。
 むちうちで気をつけるポイントは、症状が事故直後に出ない場合です。事故後に何も症状がないので病院に行かないままでいると、数日経ってから症状が出てきてしまい、医療処置が遅れてしまいます。症状が悪化すると痛みや頭痛が強くなってしまい、日常生活に悪影響が出ます。軽い事故でも、まずは医療機関へ受診することが大事です。

脳震盪(のうしんとう)

 事故で頭を強く打った場合、脳の組織やその周りにある血管などが損傷します。症状が強く出ると頭痛や吐き気が発生してきます。この場合を「脳震盪」と呼び、脳の内外に血腫(血が固まった状態)ができてしまい命の危険を伴います。脳震盪の症状が出た場合は早急に病院へ行きましょう。
 また、脳震盪が発生してから短期間のうちに同じような衝撃を頭に受けてしまうと、さらに重篤な症状に陥ってしまいます。これを「セカンドインパクト症候群」と呼びます。再び頭にダメージが入ると、急性硬膜下血腫という脳内に大きな血腫が発生してしまい、緊急手術を要する場合もあるので注意しましょう。

骨折・脱臼

 自転車事故やバイク事故では、転倒した際の骨折・脱臼が多く発生します。自動車事故でも、衝突の衝撃で肋骨が折れることがあります。肋骨骨折は見落とされやすいので、大きく深呼吸した時に肋骨が痛む場合は病院での診察を受けるべきです。
 足の太い骨を骨折してしまうと、歩行困難になるため車椅子もしくは松葉杖での生活を余儀なくされます。また、正しいリハビリをしないと以前のような歩行ができなくなったり、痛みや違和感が取れなくなったりします。

深刻なケガに気づかないでいると、取り返しのつかないこともあります。
小さな事故でも、まずは医療機関に行きましょう!