股関節にも肩と同じ様にインナーマッスルが存在する!?
先日第36回日本臨床スポーツ医学会学術集会にはなみずきグループのスタッフ、理事長と参加してきました。
当グループからも多くの発表がり、大変盛り上がった会になったと個人的には感じております。
そして、シンポジウムでは各専門分野で有名な先生たちのお話を聴講することができとても勉強になりました。
その中でも特に面白いと感じたのが、
東京スポーツ医学研究所に所属する宇都宮啓先生が発表して下さった
「股関節鏡手術はスポーツ選手の保存療法を補完する」という内容でした。
この講演のなかで話されてた股関節の解剖学的研究の内容が個人的にすごく興味深かったので、みなさまにも簡単に内容を共有したいと思います。

こちらの研究は宇都宮先生も共同研究者として参加されており、
大腿骨周囲筋が関節包を介して大体骨頭と頸部にどのように作用するかを解剖学的に解明するために、大腿骨頭と頸部とそれらの組織学的関係と位置関係を持つ関節包の関節包周囲筋の配置を調査することを目的としています。
どうですか? とても難しいですよね?
関節は骨と関節包という袋によって構成されています。関節包の中には滑液という潤滑油のような液で満たされており、骨どうしの動きをスムーズにすると共に、関節のを安定させることにも関与しています。
この研究では、股関節の関節包に付着する筋肉を調べ、関節包を通して関節を安定化させることができるかどうか調査しています。

結果:
大腿骨頭周囲筋(小臀筋、腸骨筋、内・外閉鎖筋)は、関節包に螺旋状に配置され、組織学的に筋膜または腱を介して関節包に密接な連続性がありました。

臨床的関連性:
大腿骨頭周囲筋は、筋膜または腱を介して関節包にらせん状に付着しています。
骨頭周囲筋のらせん収縮力は関節包を介して大腿骨頭と頸部の中心位置を調整することができます。
これは、肩関節でいう「回旋腱板」に近い働きだと捉えることができます。(ここでは股関節腱板と呼ばれています)
大腿骨頭と頸部を中心位置に調整することで、関節を動かす際に安定性を得ることができるのです。
つまり…
股関節が痛いのに大筋群(大臀筋や中臀筋など)を鍛えるようなスクワットなどのコンパウンド種目を行う前に、股関節の安定性についても考慮する必要がありそうです。
※本研究は検体を用いての研究のため、今後は生体力学研究で検証する必要があるとのことです。
●まとめ
今回は股関節の安定性に必要な筋肉を具体的に学ぶことができました。
これは股関節疾患に対しての運動療法を考える上で大変参考になりました。
股関節の安定性(中心位)の獲得するためにも、大腿骨頭周囲筋(小臀筋、腸骨筋、内・外閉鎖筋)のエクササイズも積極的に行う必要がある感じました。
文章:村松

