膝蓋腱炎(膝お皿の下の痛み)に対する運動療法の勧め
スポーツ活動を行う方に多い膝の障害に膝蓋腱炎があります。
膝蓋腱炎は膝蓋骨(膝のお皿)の下方に限局された痛みであり、膝前の不快感の最も一般的な原因の一つです。
膝蓋腱とは、膝蓋骨と脛骨粗面(すねの骨)をつなぐ強靭な結合組織であり、四頭筋腱の連続構造として大腿四頭筋から膝蓋骨を介して脛骨へ力を伝える働きがあります。
解剖学的には「腱」と呼ばれることが多いですが、膝蓋骨と脛骨をつなぐため「膝蓋靱帯」とも呼ばれます。

膝蓋腱炎は通常ジャンプやスクワットなどの膝伸筋(膝を伸ばす筋肉)にストレスがかかる場合に痛みが出現することが多いです。
これらはスポーツ活動中に頻繁に行うこうとの多い動作なので、痛みがでプレーに支障が出ること頻繁に見受けられます。
そんな膝蓋腱炎には9つの危険因子となる特徴があるといわれています。1)
・体重
・BMI
・ウエスト/ヒップ比
・脚長差
・足のアーチ(土踏まず)の高さ
・大腿四頭筋の柔軟性
・大腿四頭筋の強度
・ハムストリングス(腿裏)の柔軟性
・垂直ジャンプ能力
しかし、
直接的な原因と結果の関係は現在は不明なようです。
治療に目を向けてみると、医療現場では安静や物理療法、ストレッチなどといった保守的なリハビリをよく目にするように感じます。
しかし、それだけだと痛みが引いても筋力が低下してしまい、他の障害に繋がる可能性も出てしまうのではないかと危惧しています。
今回は、膝蓋腱炎からの早期復帰、再発予防を目指すたの運動療法としてのトレーニングをご紹介いたします。

以前より膝蓋腱炎に対する運動療法として偏心性エクササイズ(筋肉が伸ばされながら力を入れる)の有効性が支持されていました。
しかし、偏心性エクササイズは痛みを誘発するためシーズン中の競技者に対する効果に疑問がありました。
そこで、代替運動療法として許容可能な痛の範囲内で行うエクササイズ「Progressive tendon-loading exercise(PTLE)」が提案されました。

PTLEは4つのステージに分かれており、それぞれの基準をクリアすれば次のステージへと移行します。
この二つの運動療法の効果を比べたところ、PLTEを行った群の方が優れている項目が多くありました。
そのため、この研究ではPLTEの使用を支持しています。
♦︎上記の研究を参考に当院では運動療法も積極的に取り組んでいます。
また、患部の問題だけでなく障害が発生してしまう原因となる動作パターンにも介入し、
動きの観点からも改善を目指します。
長引く膝の痛みや早期復帰を目指したいかたは、
当院に受診してみてはいかがですか?
参考文献
1) Henk van der Worp et al. Risk factors for patellar tendinopathy: a systematic review of the literature. Br J Sports Med. 2011 Apr; 45(5):446-52.
2) Stephan J Breda et al. Effectiveness of progressive tendon-loading exercise therapy in patients with patellar tendinopathy: a randomized clinical trail. Br J Sports Med. 2021 May;55(9):501-509.
文章:村松

