口呼吸と鼻呼吸の違い

なんとなく鼻呼吸のほうがいいような気がするけど、なぜ呼吸がいいのかは意外とわからないですよね?

今回はそんな口呼吸と鼻呼吸の違いを筋機能の観点から調べている研究をみなさんにお伝えしたいと思います。

●はじめに
鼻呼吸は、人間にとって先天的なものであり、呼吸器系の重要な構造に空気が到達する前に空気を調節するという大切な役割を持つ。また、頭蓋顔面や口腔顔面系の発達や機能にとっても不可欠である。(Armijo-Olivo, 2006; Cucciaら, 2008)とあります。

正常な鼻呼吸を行うことで、顔や顎の正常な形態促進、口腔内の保湿、免疫力保持、気道・呼吸器系のフィルター、加温・加湿効果が見込めるそうです。

しかし、日常的に口呼吸を行うことで、顎後退、咬合不全、虫歯、歯周病、喘息のリスク増加につながるといわれています。
口呼吸は鼻咽腔気道を通る気流を容易にしようとする結果、姿勢的適応や筋の不均衡を生じさせる可能性がある。口呼吸の人々には一般的に前方頭位姿勢が一般的にに見られ(Chavesら、2010; Cucciaら、2008; Okuroら、2011; Yiら、2008)、それが横隔膜(Limeら、2011; Yiら、2008)や胸郭の運動学(Okuroら、2011; Piresら、2007)に影響を与える。また、安静時の補助吸気筋の活動亢進(Ribeiroら、2002; Correa & Berzin,2008)吸気筋の弱化(Kilanesiら、2014; Okuroら、2011; PIresら、2005,2007)上胸部優位の吸気運動(Yiら、2008)も報告されています。

口呼吸に対する研究の傾向

◯口呼吸の研究の多くがは、耳鼻咽喉科的、歯科的、口腔顔面運動機能的な側面に焦点を当てているが、姿勢変化に関する研究も一部存在している。

◯口呼吸の評価、治療は姿勢および換気機能の変化を含むべきであるが、口呼吸児や成人の換気機能や呼吸筋の関する研究は乏しい。

◯横隔膜運動と補助吸気筋の動員に関する知見は、診断・治療アプローチに貢献する可能性がある。

今回の研究では、
口呼吸および鼻呼吸成人において、補助吸気筋の電気活動と、横隔膜運動の振幅を評価することを目的としています。

●対象
・18〜30歳男女77名(BMI: 18.5-24.9kg/m2)で、口呼吸郡(38名:女性25名、男性13名)と鼻呼吸群(39名:女性28名、男性11名)に分類した
・欧州呼吸器学会の基準による正常なスパイロメトリー結果を有し、呼吸器疾患や神経筋疾患、胸郭変形の既往がなく喫煙や有害環境への暴露もない者とした

●評価項目・方法
・問診(症状、既往手術、スパイロメトリーなど)
・呼吸テスト中の補助吸気筋の筋電図(sEMG)および横隔膜超音波検査

●結果(優位差のあったものだけ抜粋)
・口呼吸群は急速吸気時の胸鎖乳突筋の動員が少ない
・口呼吸群は横隔膜の動きが小さい
・口呼吸群は吸気筋力も鼻呼吸群より低い

つまり…

口呼吸群では、急速に空気を吸おうとした際に
横隔膜や胸鎖乳突筋の動員が少ないため、うまく空気を吸うことができないということです。

しかし、安静時の吸気における補助筋の活動に差はなかったとあるので、他の研究照らし合わせていろいろ検討してみたいものです。

横隔膜の動きでいうと、前回の「慢性的な首(肩)こりは呼吸と関係している?」でもご案内しているので
合わせてこちらもお読みいただければ幸いです。

文章担当:村松

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