腕のしびれはどこから?
今回は「腕のしびれ」についてお話しします。
腕のしびれが起きる原因は多岐に渡ります。例えば、交通事故に遭遇したときに頸部の損傷があると、頚椎捻挫(むちうち)により首の神経が損傷します。首の神経からつながる腕の神経に影響して、しびれが発生します。また、脳に問題がある時にも腕のしびれは発生します。脳血管障害(脳卒中・脳梗塞など)が発生すると、対側になる腕にしびれや機能障害が起きます。
腕のしびれで皆さまの身近に発症するものは、首の付け根にある神経の障害によるものがあります。これは姿勢が悪く首や肩の筋肉が硬くなってしまい、首の骨から腕に走る神経や血管を圧迫してしまう状態で発症します。これを「胸郭出口症候群」よ呼びます。
首の付け根から肩にかけて走る神経と血管の周りには、筋肉や鎖骨・肋骨が周りを覆っています。普段の姿勢が猫背などの状態になると、これらの筋肉が使われすぎて硬くなり、鎖骨・肋骨の位置が正常な場所からずれてしまいます。そうなると、走行する神経や血管を圧迫してしまい、腕にしびれを感じてしまいます。
胸郭出口症候群はこれらの神経や血管を筋肉や骨が圧迫し続けてしまい、痛みやしびれが発生している状態です。首の付け根にある斜角筋と呼ばれるところが圧迫する「斜角筋症候群」、鎖骨と肋骨の間が狭くなる「肋鎖症候群」、小胸筋が圧迫する「小胸筋症候群」に分けられます。斜角筋と小胸筋はスマホやPC作業が多いと過剰に使われすぎてしまう筋肉なので、これらの筋肉が首の骨や肩甲骨を前に傾けてしまい、いわゆる猫背姿勢になってしまいます。
現代は姿勢が悪くなりやすい機会が多いので、胸郭出口症候群が身近に発症するケースが多くなる可能性があります。頚椎に大きなダメージを負ったということがなく、脳血管障害の可能性もない場合は、胸郭出口症候群を疑ってみましょう。根本的な改善は姿勢を見直す必要があります。正しい姿勢を維持できるように、運動を始めてみましょう。